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September 13, 2004

アナフィラキー症状とメガネスキー症状

金曜(10日)の話なのですが、仕事で市内の山林を調査測量して歩いていた時に、一緒に歩いていた職場の同僚のK谷(仮名)が地面にクロスズメバチの巣があるのに気が付かず、うっかりと巣を踏み抜き数十匹のクロスズメバチに刺されるという事故がありました。
蜂に刺された時に一番怖いのは「アナフィラキーショック」です。
これは一種の抗原抗体(アレルギー)反応で、蜂に一度刺された時に体に入った蜂のタンパク質系の毒(抗原)に対する抗体ができ、次に刺された時に毒(抗原)に対して抗体が激しく反応してショック症状を起こす事を言います。
このアナフィラキーショックの程度は人によってまちまちで、一匹の蜂に刺されただけで重度のショックに陥り死んでしまう方もいれば、まったく症状の出ない体質の方もいます。
K谷(仮名)はかなり重度の「アナフィラキーショック」を起こしやすい体質でした。脚や腕など十数ヶ所を刺されており、刺された場所を強くつまんで毒を吸い出す、洗い流す等の処置をしたものの、5分ほどで腕や顔を中心に発疹が出始め、目眩、頭痛を訴え出しました。幸い、意識がなくなるまでは行かなかったので、歩いて5分ほどのところに停めてあった車に戻り、ただちに病院に向かいました。
車の無線で事務所に連絡し、職場の指定医に症状を説明したところ、緊急病院に運んだ方が良いとの判断で、赤十字病院の緊急救命センターに搬送することに。現場から緊急救命センターまで約30分。助手席に横たわったK谷(仮名)は、意識こそはっきりとしているものの、発疹は全身に拡がり、息苦しさや発熱から来る喉の渇きを訴えたりとかなり症状が悪化して来ており、正直運転していて気が気ではありませんでした。
可能な限り交通法規に目をつぶって緊急救命センターに駆けつけ、待機してくれていた医師に連れられ同僚は治療室へ。とりあえず後は医者のお仕事なので、ふっと気が抜けて待合室のソファに座り込んだら、なにやら右腕が痛い。作業着をめくってみると上腕部に2箇所ゴルフボールくらいの大きさに腫れ上がっているところがありました。ああ、そう言えば追い払っている時にそのあたりを刺されたっけなぁ、と思い出して遅まきながら傷口から毒を吸い出してみたり、洗面所で洗ってみたり。どうも私はクロスズメバチに刺されてもクロスズメバチに刺された程度にしか感じない体質らしいです。
15分ほどすると緊急処置が終わったというので治療室に呼ばれます。治療室に入るとストレッチャーに横たわり毛布にくるまれているK谷(仮名)と、担当らしい医師と二人の看護婦が目に入ります。K谷(仮名)の様子を見ると発疹も幾分治まり、呼吸も安定しています。医師の話では、やはりK谷(仮名)は「アナフィラキーショック」を起こしやすい体質だそうで、刺された箇所も多くすぐに応急処置をして病院に連れてきてくれて良かったとの事。今は抗ヒスタミン剤(抗原抗体反応を抑える薬)の投与で症状は安定しているが、今後急に症状が悪化する事も考えられるのでしばらく安静にしているようにとの指示を受けます。K谷(仮名)本人も意識ははっきりしており、刺されたのがちょうどお昼前で2人とも食事前だったので「そう言えば腹が減りましたねぇ」などと笑って見せる余裕もあり、私もどうにか一安心して周りを見る余裕が出てきます。
看護婦さんが2人いて、K谷(仮名)に点滴の針を打っているところだったのですが、2人の着ている制服が違います。1人はちょっと年配の看護婦でもう1人はかなり若い、というか胸元を見たら『研修生』の名札が付いてました。看護学校の研修生のようです。更に重要な事に、彼女は、眼鏡をかけていました。今度は私の方に「メガネスキー症状」が発症し始めます。彼女はもう1人の年配の看護婦に指導を受けているようで、K谷(仮名)の腕にたどたどしい手つきで点滴の針を突き立てています。

一瞬、

『こいつ(K谷)、いっその事このまま長期入院でもしねぇかな?そしたら看護婦さんを観察するついでに毎日見舞いに来てやるのに』

ピンク黒い考えが頭をよぎります。
残念ながら幸い、K谷(仮名)は2時間程ストレッチャーで休んだら体調が回復したのでそのまま退院となりましたが、休んでいる間他の緊急患者を看て回る看護婦さんをじっくりと観察して過ごしました。一度K谷(仮名)の様子を見に研修生の子が戻って来た時に、刺されて腫れていた右腕を見せたところ、「うわ~、痛くないんですか?」「いや、見ての通り痛いって」「平気なんですか?」「痛いだけだし。別に何ともない」「へ~、刺されても平気な人は平気なんですね」と微妙な会話の後「一応、お薬塗っておきます?」と言うので、まぁ今から塗っても大差ないよなぁと思いつつも、眼鏡っ娘看護婦に薬を塗ってもらえればクロスズメバチに刺された甲斐もあろうというもの。右腕と、待っている間に刺されているのに気が付いた背中にも膏薬を塗ってもらいました。なんか凄い得した気分でした。

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………とまぁ、笑い話にできるのもK谷(仮名)がとりあえず無事だったからで、下手をすると昨日か今日あたりがK谷(仮名)の葬儀で、職場を代表して別れの挨拶をする立場になっていたかもしれない事を考えると今でも肝が冷えます。今年は7月8月に好天続きで蜂の繁殖も盛んで山間部の現場で蜂を見る機会も多いです。一匹の蜂に刺されただけでアナフィラキーショックを起こして死んでしまう方もいるそうですので、皆さんも蜂にはお気をつけて。

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Comments

えーっと…よかったですね。
#いろんな意味で(笑)。

読者の私としてはイラストが拝見できて
「よかった」わけですが。

Posted by: つぅ | September 13, 2004 09:32 PM

私の場合、実家の家の中とか、高校の教室とかに、普通にスズメバチが出没していましたが、幸い、まだ刺されたことはありません。
それはともかく、UTさんもお気を付け下さい。
二回目が大変だそうで。

Posted by: アカギツネ | September 13, 2004 10:51 PM

研修生の子がK谷(仮名)の腕に針を突き立てる手付きがおっかなびっくりだったけど妙に楽しげだったとか、ポニーテールにした髪を留めているのがでっかい洗濯ばさみ型の髪留めだったとか、注射針を持つのもメモを取るのも左手だったとか、ポイントが高かったです。
いろんな意味で。

>二回目が大変だそうで
割とワイルドでカントリーな少年時代を過ごしたおかげで、たいがいの蜂には刺されました。今でも仕事で山の中を歩くことが多くて年に2,3度は刺されてますが、今のところ大過なく済んでます。蜂の種類にもよりますが、大丈夫な人は大丈夫な事もあるらしいです。
だからといって油断して刺されてぽっくり逝ってしまうのもいやなので、刺されないように注意したり、刺された時の対策は常に用意してますが。

Posted by: UT | September 14, 2004 12:31 AM

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