ケータイと世界の在り方
『世界っていうのは携帯の電波の届く場所だと漠然と思っていた』
アニメ『ほしのこえ』の主人公ミカコが物語の冒頭に語るセリフである。
これは物語中における携帯電話(を使ったメール)によるコミュニケーションの位置付けを暗に示唆している重要なセリフだが、これを現在の私達のケータイ文化についても当てはめて考えてみる。
ケータイの電波の届かないところ=田舎、という図式は確かにある。だが、電話としてのケータイが使えないだけならば、ただ単に不便というだけでケータイに代わる連絡手段は他にもあるのだからそれを利用すればよいのであり、『世界=携帯の電波の届く範囲』という認識にまでは至らないだろう。携帯電話端末としてのケータイは既に数年前から行き着くところまで行ってしまっている感もあり、現在はその他の機能を付加、高性能化する事によってケータイ文化は成り立っている。すなわち、
メール端末としてのケータイ。
WEBブラウザとしてのケータイ。
カメラ・ビデオとしてのケータイ。
それらは今のところ主にエンターテイメント性を高める方向に向かって進んでおり、ケータイ文化が若者のモノと言われる所以もそこにある。オーディオ、ヴィジュアル面の機能強化を図った商品展開が多い事から見てもそれは明らかであるように思う。
しかし、ケータイのもう一つの可能性として『個人認証のための携帯端末としてのケータイ』というモノが考えられる。
電車の定期券代わりのケータイ。
クレジットカード代わりのケータイ。
運転免許証や保険証やパスポートや学生証や家の鍵や有料道路のETCやスーパーのポイントカードなど、様々な場面で必要な『個人認証』の機能を持ったケータイ。
それは最早『携帯電話』とは呼ぶにはふさわしくないような気もするのだが、技術的には十分可能であろうと思うし、一部は既に実現の方向にある。個人情報の一括管理という側面を持つためにセキュリティに関しては十二分に配慮しておくべきだが、『住民基本台帳』のような実効性の見えてこないサービスよりは利用者にとっての利便性が明確であるために受け入れも容易であると思われる。現にケータイに様々な情報を詰め込んで持ち歩いている人は多いと思うが、その危険性を危惧する声はあまり聞かれない。便利だからだ。
さて、ここで冒頭の『世界=携帯の電波の届く範囲』という論点に立ち返る。
現在でもケータイは重要なコミュニケーションの道具ではあるが、個人にとっての世界の認識の在り方を規定するほどのモノではない。が、単なるコミュニケーションの道具としてのみならず、様々な情報ネットワークにアクセスする際の個人認証を行う携帯端末として見た場合、携帯の電波が届く範囲、ケータイを介して情報のネットワークに接続できる範囲こそが個人にとっての世界である、という認識はあり得るのではないだろうか?
『ほしのこえ』の中でのミカコのセリフがそこまでの意味を持っていたかどうかは分からないが、ケータイというモノが世界の認識すら変えうるのだと示すメッセージに、私には聞こえてならない。
…などと言う事を『圏外』の表示を示す自分のケータイを見ながら思ったり(笑
以上は、2003年の7月頃にアニメ『ほしのこえ』を観てふと思いついたことを書いたテキストである。いろいろと言葉の足りない部分もあるがあえてそのまま掲載してみた。
ところで、私はNTT-DoCoMoの携帯電話を使っているが、いまだに自宅は『圏外』にある。VodafoneとAUは通じるのでそちらに切り替えるという手もあるのだが、あえてこのままNTT-DoCoMoの端末を使っていこうと思っている。
現在ほとんどの携帯電話会社が『人口カバー率100%』を謳っているが、所詮それは数字のトリックでしかないことを忘れずにいたいし、携帯電話の電波の届かないところに住んでいる、というのもそれほど悪いことではないと思うのだ。
上の文章とは矛盾するが、携帯電話は『あれば便利で楽しい』という程度のモノであって、個人にとっての世界のあり方を規定するようなモノではない/あって欲しくないと思っているし、なにより自宅でウダウダゴロゴロ休日を満喫している時にロクでもない用事で会社からケータイに電話がかかってくる心配がない、というのは大変素晴らしい事だと思うのだよ、全国のサラリーマン諸兄(笑
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あの言葉はケータイと「繋がる」距離(繋ぐことの出来る)距離が自分のいる(と認識できる)世界なのだ、というセリフだと思うので、社会的認証存在としてのケータイと言う... [Read More]
Tracked on February 22, 2005 at 12:00 AM

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