木元竹末
午前中薪割りをしました。
我が家の風呂は太陽光温水器と薪のハイブリッド仕様だったり、台所にはいまだにかまどがあって赤飯を炊いたり餅米を蒸したり湯を沸かしたりと割と日常的に薪を使うので時々薪を割る必要があります。
最近では建築廃材をもらってきて薪の替わりにすることも多いのですが、北欧産のホワイトウッドなどは火付きは良いのだけど一端火が付くとベラベラと紙のように燃えてしまい日持ちが悪いので風呂を沸かしたりするのには杉や桧の薪の方が向いています。
薪を割るときのコツに「木元竹末(きもとたけすえ)」という言葉があり、これは杉や桧のような木は元口(もとくち)、つまり根本に近い方から割った方が割りやすく、竹は末口(すえくち)、つまり梢に近い方から割った方が綺麗に割れるという事を意味しています。
通常木材は根元の方が太いため年輪の間隔も元口の方が疎であり、斧をあてた時に刃が入って行きやすいのと、節のある薪の場合、節(つまり枝)は幹の中央から上方向に向かって伸びているため、末口から割ろうとすると節の繊維に方向に逆らって亀裂を入れようとするため割りにくく、元口から割った方が節の繊維に当たった際にも力が外側に逃げやすく無駄な力を入れずに割れるので、「木は元口から割れ」と言われています。
竹の場合は、元から末までまっすぐな繊維が通った材質なので元から割っても末から割っても同じようには割れますが、末口に鉈を当てて割りたい比率を決めて割った方が刃を当てる量を少なく正確に割れるので「竹は末口から割れ」と言われているようです。
桧や杉を元口から割る場合にも、節の無い部分を狙って割る方が軽い力で割ることが出来、狙ったところに上手く刃が入った時など軽く振り上げて薪割り台にトンと当ててやるだけでパリンと小気味よい音を立てて割れます。
あるボクシング漫画で背筋を鍛えるために薪割りをするというエピソードがありましたが、薪割りにはそれなりには力は必要ですがむしろ大事なのは、薪という不均等な木質繊維の塊を繊維方向に対して平行した分割を行うために最も効率の良い破壊点を見つけ出し、刃であると同時に楔でもある鉈をその破壊点に打ち込み薪割り台に衝突させる事で鉈の質量を破壊エネルギーに変換し効率よく分割を行うという構造力学的視線なのではないかとも思うのですが、ボクサーってのは薪割りの上手さが求められる職業でもないので力任せに割ったって何の問題も無いから安心してください>講○社
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